校長挨拶

 

校 長  大 塚 弘 文

 本年4月より着任いたしました。1963年(昭和38年)に設置された国立高等専門学校第2期校の歴史と伝統ある本校に着任し身の引き締まる思いです。

 本校はこれまで1万人余の実践的高度技術者を輩出してきました。専攻科(生産情報システム工学専攻・応用物質工学専攻・建築学専攻)の設置(平成13年)や、独立行政法人国立高等専門学校機構への移行(平成16年)を経て、「幅広い工学基礎と豊かな教養を基盤に、創造性・多様性・学際性・国際性に富む実践的な高度技術者の育成をめざす」という教育理念のもと平成28年に創造工学科1学科2系6コース(環境・エネルギー工学系に、エネルギーコース、応用化学コース、環境生命コース、人間・福祉工学系にメカニクスコース、情報システムコース、建築コースの各3コースを開設)に改組して現在に至っています。それぞれの専門分野の基礎学力および基礎技術力を養い多様化・複雑化する社会ニーズに対応できる創造的・実践的技術者の育成を目指しています。

 ここで、“多様化・複雑化する社会課題”の典型例として、人間活動に伴う温室効果ガスの増加による気温上昇が引き起こす地球温暖化の諸課題に目を向けてみましょう。世界各地で頻発する熱波や豪雨などの異常気象とそれに伴う災害、海面上昇による沿岸地域の浸水リスクの高まり、そして、生態系の破壊や生物多様性の損失、食料不足や水資源の枯渇などへの深刻な影響と、枚挙に暇がありません。さらには、労働生産性の低下や感染症リスクの増大など社会・経済面の課題へも影響は拡大し、将来世代の安全や生活基盤を脅かす地球規模の問題となっています。これらの複雑かつ多様な課題群を解決していくためには、あらゆる分野の英知と技術の結集が不可欠です。有明高専が育成する人財は、まさにこうした課題の解決に参画できる複眼的な幅広い視野と分野横断的な学際性、そして柔軟な発想力をもつ創造性に溢れる人財です。

 学生諸君には、教育理念や教育目標に示している“社会が求める人財の意義”を深く理解し、自身の専門技術・知識の基盤を構築しつつ “創造性・多様性・学際性・国際性”の錬磨に努め、様々な社会課題の解決に寄与するべく自主・自律の姿勢をもって精励されることを願っています。「千里の道も一歩から」というように、日常の凡事を丁寧に着実に実行していくこと、「まず一歩を踏み出してみよう」と具体的に行動に移すことが大切です。そしてたとえ小さくても「一歩前進」の達成体験を積み重ねましょう。なぜ「できた」のか、なぜ「できなかった」のか、いずれの場合も振り返り(フィードバック)に基づく具体的な工夫を「次の一歩」に加えて「経験の価値」を高めていく、この「繰り返し」こそが「挑戦」です。一歩進んで二歩下がっても続けていく、その経験の積み重ねが創造力の根源となり、皆さんの“伸びしろ”をもさらに拡大させます。まさに「継続は力」であり、本校の校訓のひとつである『和神養素』につながるものと思います。そのような学生諸君の学びと成長を支えられるよう有明高専のさらなる発展充実に取り組んでまいります。

 これからどうぞよろしくお願いいたします。