校長挨拶
校 長 八 木 雅 夫
高専(高等専門学校)は1962年に高度成長期の技術者育成のため、早期専門教育と実践的な技術者教育に主眼を置いた高等教育機関として設置されました。これまで優秀な人財を社会に送り出してきた実績により、創設後63年を経た今でも産業界から高い評価を受けています。一昨年、新たな高専が四国の徳島県に誕生し、国公私立を併せて58高専63キャンパスで構成されています。また、KOSENとしてアジアを中心に国際的にも知られるようになりました。
有明高専は、1963年に国立高専の第2期校として、三池炭鉱と石炭化学コンビナートの隆盛とともに急速な発展をとげた炭都と呼ばれた有明地域に開校されました。今も、身近な環境に石炭産業遺産が継承されています。加えて2025年度は創設以来63年目の年にあたります。
現在、情報化社会の後に到来するSociety 5.0、すなわちサイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会に向けて、時代は進みつつあります。同時に産業構造変化、地域社会の少子化高齢化、急激なグローバル化など、さまざまな答えの明らかでない課題が現実化しており、これらを先端技術の持続的な開発を活かして解決する人財が求められています。
有明高専では、「幅広い工学基礎と豊かな教養を基盤に、創造性・多様性・学際性・国際性に富む実践的な高度技術者の育成をめざす」ことを教育理念としています。教育の大きな特色は、高等教育機関として、実験や実習を重視した教育プログラムを大学教員と同等の教育研究能力を有する教員が、学生の主体性を尊重して実践しているところです。早期教育の利点を活かしたものづくりやことづくり、空間づくりを社会に実装する取り組み、創造性の開発に重点を置いた問題解決型グループ学習(PBL)の積極的な導入、確かな進路選択を可能とするキャリア教育の推進、地域と連携したプロジェクト型教育活動の展開、国際的な文化理解を深めコミュニケーション能力を高めるなど、常に時代の先端をめざすイノベーターを育成する教育を推進しています。