校長挨拶

 

校 長  江 﨑 尚 和

 高専は高度成長期の技術者育成のため,早期専門教育と実践的な技術者教育に主眼を置いた高等教育機関として設置されました。優秀な人材を世に送り出してきたことで設立後50年以上が過ぎた今でも産業界から高い評価を得ています。有明高専も全国にある51の国立高専の一つとして長年にわたり,数多くの素晴らしい人材を送り出し,日本の科学技術の発展に大きな役割を果たしてきました。

 しかしながら,これまで高専が行ってきた教育も今大きな変革が求められようとしています。情報・通信技術関連の急速な進展に伴う産業や社会の急速な変革に対応した教育の改革です。Society 5.0という言葉を聞いたことがあると思います。1.0の狩猟社会,2.0の農耕社会,3.0の工業社会,4.0の情報社会に続く新たな社会づくりが始まろうとしているのです。内閣府によるとSociety 5.0とは「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより,経済発展と社会的課題の解決を両立する,人間中心の社会(Society)」と定義されています。IoT(Internet of Things)やAI(人工知能)などの先端技術が社会の仕組みを大きく変え,これからの教育の在り方にも影響をおよぼしてくると考えられるのです。

 人口知能の発達によって,おそらく今存在する仕事のいくつかは無くなるでしょう。また逆に今は存在しない新しい仕事が生まれてくることは確実です。これからの人間は人工知能とうまく共存する能力が求められるようになります。人工知能にはできない能力とは何でしょうか。例えばデザイン(クリエイティビティー)のような全く新しいものを作り出す能力,マネジメントをする力,人を動かす力,人の心を読み取り対応や問題を解決する力などがあります。これからはこういった能力を身に付けていく必要があるのです。また,これからの予測困難な時代を乗り切るために欠かせないもう一つの大切な能力があります。それは,必要とされる知識や能力を自律的に継続的に修得していける生涯学習能力です。当然ですが,得られた知識を実際に応用して課題を解決する能力,チームで働く能力など様々な能力が求められることとなるでしょう。

 これからの社会で活躍するエンジニアの卵である学生の皆さん,来るべき新しい社会となるであろうSociety 5.0に思いを巡らせ,これから自分たちが身に付けないといけない能力は何なのかを,ぜひ一度真剣に考えてみて下さい。