集まる分子が少ないミセルでは飛び飛びで不連続な会合数を取ることを発見(プレスリリース)
- 2017年03月30日
- その他
集まる分子が少ないミセルでは飛び飛びで不連続な会合数を取ることを発見
- 高校の化学の教科書の記載が変わるかもしれない発見 -
北九州市立大学の櫻井和朗教授、高輝度光科学研究センターの八木直人コーディネーター、有明工業高等専門学校の大河平紀司准教授らからなる研究グループは、104年間定説であったミセルの概念が、必ずしも正しくないことを世界で初めて発見し、これが数学の幾何学の問題(一部未解決)と密接な関係がある事を示しました。
セッケン分子は、水中で自ら集まってミセルと呼ばれる会合体を形成します。このことは、1913年にイギリスの化学者マックベインによって発見され、洗剤や化粧品、医薬品などに広く応用されています。また、ミセルの概念は、高等学校の化学の教科書でも、大切な事項の一つです。今までミセル中の分子の数(会合数)にはある程度の幅があり、一定の数ではないと考えられてきました。
本研究グループは、SPring-8を用いたX線溶液散乱法などの手法によって、ミセルの会合数が30以下になると、飛び飛びの値である4,6,8,12,20,24から選ばれる数の会合しか起こらず、その数の多くは、プラトンの正多面体の面の数と一致することを世界で初めて見つけました。この現象は、従来のミセルの概念では説明ができません。本グループは、このミセルの量子的会合現象を、数学上の未解決問題の一つであるテーマス問題から説明をしようとする新しい理論を提案すると同時に、「プラトニックミセル」と名付けました。
ミセルはナノテクノロジーの基盤技術であり、プラトニックミセルを使うと、高性能な薬剤運搬技術、超精密ろ過材、省エネルギーのための高性能触媒などの開発が可能となります。
本研究成果は、2017年3月14日に科学誌「Scientific Reports」で公開されました。
※詳細な内容は、下記のページでご覧ください。
→ SPring-8のウェブページ(プレスリリース)