緊急提言:有明高専節電アクションプラン

令和7年7月17日策定

―財政危機回避に向けた全校協力のお願い―

1.はじめに ―財政危機:全校で共有すべき喫緊の課題―

 本校は今、世界的な燃料費高騰に端を発する電気料金の急激な上昇という、教育研究環境そのものを揺るがしかねない深刻な財政危機に直面しています。
特に憂慮すべきは、電力デマンド警報の発令回数が年々増加している点です。令和5年度に13 回、令和6年度には29回を数え、令和7年度は7月現在で既に35回もの警報が発令されています。これは、一歩間違えれば高額なペナルティが発生する非常事態であり、決して看過できません。このままでは、高騰した電気料金が学校財政を著しく圧迫し、本来、教育、研究及び学生サービスに充てるべき貴重な予算が奪われ続けます
 これは単なる「節電のお願い」ではありません。私たちの学び舎を守り、未来の教育研究環境を維持するための、全構成員による「総力戦」です。「『危機意識の共有』から始める使用量削減」をスローガンに掲げ、全校一丸となった節電への取り組みを強く要請いたします。

2.達成目標 ―私たちが守るべきデッドライン―

(1)目標1(契約電力437kW の絶対遵守)

 いかなる時間帯においても、契約電力437kWの超過は許されません。超過した場合、翌月の基本料金が大幅に跳ね上がり、財政をさらに悪化させます。

(2)目標2(総電力使用量を1,076,322kWh 以下に抑制(令和6年度実績以下))

 電気料金単価が上昇しているため、使用量を前年度並みに抑えるだけでは支出は増加の一途をたどります。最低でも令和6年度の使用量を下回ることが、財政負担軽減の必須条件です。

<参考:校舎地区の電力使用状況>

年度 電力使用量(kWh) 料金(円)
令和7年度(目標) 1,076,322 以下 27,836,110 以下※
令和6年度(実績) 1,076,322 27,836,110
令和5年度(実績) 1,074,646 25,053,071
令和4年度(実績) 1,109,364 31,500,420
令和3年度(実績) 1,143,171 18,655,733

※ 令和5年4月からの契約見直し(最終保証供給から標準メニューへ移行)により、基本料金単価は下がりましたが、従量料金単価は上昇しています。このため、目標を達成できなければ、この試算額を大幅に超過する懸念があります。

3.実施期間

(1)夏季集中対策
 令和7年6月~10月

(2)冬季集中対策
 令和7年12月~令和8年3月

4.節電アクションプラン ―今すぐ全員で実践すべきこと―

(1)最重要:空調(エアコン)の運用を根本から見直す

 電力消費の最大の要因である空調の使い方が、目標達成の鍵を握ります。
 賢明な温度・湿度管理の徹底: 特定の温度設定に固執せず、室内の温度と湿度をこまめに確認し、快適性を損なわない範囲で過度に冷やしすぎない運用を徹底します。冷房が苦手な学生・教職員への配慮は不可欠です。健康管理の観点からも、賢明な空調管理をお願いします。

1)不在時の電源OFF の徹底
 短時間であっても、誰もいない部屋の空調は必ずOFF にしてください。「最後の退出者が責任を持つ」文化を醸成しましょう。

2)フィルター清掃
 2週間に1回を目安としたフィルター清掃は、驚くほどの節電効果を生みます。各室で責任者を決め、可能な範囲で実施してください。

3)すぐできる工夫
・扇風機・サーキュレーターの併用
 空気を循環させ、体感温度を効果的に下げましょう。冷たい空気は下に溜まりがちです。
・ブラインド・遮光カーテンの活用
 授業や実験に支障のない範囲で、日中はブラインド等を閉め、窓からの直射日光(日射熱)を防ぎましょう。これだけで室温上昇を大幅に抑制できます。
・タイマー機能の活用
 始業前や昼休み後の再開時など、必要な時間だけ稼働するようタイマーを積極的に利用してください。

(2)無駄な照明を徹底的に排除する

 「誰もいない部屋の明かり」は無駄の象徴です。

1)こまめな消灯の徹底
 自室・研究室だけでなく、共用スペース(廊下、談話室、トイレ等)も利用後は必ず消灯を確認してください。

2)日中の原則消灯
 晴天時の日中は、太陽光を最大限に活用し、窓際の照明や利用者のいないエリアは原則消灯とします。(※安全や授業に配慮した上で)

3)すぐできる工夫
・昼休みの一斉消灯
 総務課や各コース、一般教育課、各センター等で呼びかけを行い、昼休み時間帯の一斉消灯を徹底しましょう。
・間引き点灯の検討
 廊下など、安全性が確保できる場所では、蛍光灯を間引くことも有効です。

(3)放課後の教室における空調利用の制限

 授業終了後、教室で⾧時間過ごす学生が見受けられますが、電力危機回避のため、以下の通り空調の利用を制限します。

1)教室の空調停止時刻
 原則として、全教室の空調は下校時間(前期19:00、後期18:30)に停止します。用のない学生は速やかに帰宅し、節電にご協力ください。

2)放課後の学習・活動場所について
 自学やミーティング等で場所が必要な場合は、図書館、修己館(学生食堂)を積極的に利用してください。

(4)服装の工夫で、快適性と省エネを両立する

 空調への依存を減らし、一人ひとりが快適に過ごす工夫を実践しましょう。

1)クールビズ・ウォームビズの徹底
 TPO をわきまえつつ、ノーネクタイ、ノージャケット、機能性インナー、重ね着などを活用し、各自で体温調節を行ってください。学生の皆さんも、ぜひ快適で機能的な服装を心がけてください。

(5)「待機電力ゼロ」への挑戦

 使用していない電気機器からも、電力は静かに消費され続けています。

1)プラグを抜く習慣化
 使用しないPC モニター、プリンター、充電器、実験機器等のプラグは、こまめにコンセントから抜いてください。この一手間が、年間で大きな差を生みます。

2)すぐできる工夫
・節電タップの活用
 スイッチ一つで複数の機器の電源をまとめてOFF にできる節電タップは非常に効果的です。
・退室時チェックリストの掲示
 各室のドアに「□照明OFF」「□空調OFF」「□ PC モニターOFF」「□コンセント」
などのチェックリストを掲示し、最後に出る人が指差し確認する習慣をつけましょう。

(6)緊急行動:デマンド警報発令時

 デマンド警報は「非常事態宣言」です。警報が発令された場合、以下の緊急行動にご協力ください。

1)全学一斉での緊急空調制御
 総務課施設係からの節電要請があり次第、授業等に直接支障のない範囲(事務室、教員室、会議室等)の空調を直ちに停止します。また、授業中の教室であっても、危機回避のために空調の温度設定を一時的にコントロールする場合があります。迅速なご理解とご協力を心よりお願いいたします。

5.最後に ―私たちの未来のために―

 この取り組みは、一部の教職員や部署の努力だけで達成できるものではありません。学生、教職員一人ひとりがこの危機を「自分ごと」として捉え、日々の行動を一つひとつ見直すことが不可欠です。
 私たちの教育研究環境、そして有明高専の未来を守るため、全学一丸となってこの難局を乗り越えましょう。皆様の深いご理解とご協力を心からお願いいたします。