Web 版高専だよりNo.7 教員の研究紹介
- 2020年11月10日
- 高専だより特集記事
今回は、坪根先生の研究を紹介します。
○ 創造工学科 メカニクスコース 教授 坪根 弘明 先生
私の専門は流体力学・水力学です。この学問は高等教育機関の機械系分野で学ぶ専門的な力学である4力(材料力学、熱力学、機械力学、流体力学)の一つになります。例えば「流体」って流れる体?と書きますが、具体的にはあまり良く知られていないかもしれません。最初に聞くと、何かが流れるようなイメージを持たれるのではないでしょうか?世の中には水や空気など生活に必要な流れがたくさんあります。車や飛行機の周りの流れやエンジンや家電製品の冷却など、応用は多岐に渡ります。
現在、本校の流体工学研究室で行っている研究テーマは以下の4つになります.
(A) 電気的直接駆動による羽根のないファン(例えば羽根のない扇風機みたいなもの)の開発
(B) 気体と液体の混ざった流れの研究およびセンサーの開発
(C)海苔の廃水を処理する装置の開発
(D)オリーブオイルの搾油技術の開発
(A)は先進的・野心的な研究テーマで、電気流体力学流れ(イオン風とも言う)を応用した研究で、騒音や振動のないファンを実現し、既存の回転翼式ファンにとって替わることになれば、大変面白いと思っています(図1)。
(B)は気液二相流と呼ばれる現象で、原子炉やエアコン、冷蔵庫など、熱を流体で輸送する際に現れる自然現象(簡単に言うと、鍋に水を入れて沸騰させたような感じ)を解明するとともに、これまでにない検出技術を開発する研究です。
(C)は佐賀・福岡・熊本など有明海は日本最大の海苔の生産地で、冬になると多くの海苔を収穫・加工・出荷していますが、その際に細かい海苔を含んだ廃水が多く排出され、水路に沈殿し、水は赤くなり、悪臭が発生し、環境問題になっています(図2)。それを解決するための新しい分離機の開発するために、創意工夫しています。
(D)は近年荒尾市でも栽培されるようになったオリーブの搾油率増加に関する研究で、国産のオリーブオイルは非常に少なく高価なため、含油量の1/3程度しか絞れていないエキストラバージンオイルの搾油率を高電圧パルスを印加することで、オイルの搾油率増加を目指す研究で、地元の農業問題解決に貢献する研究です。
このように、本研究室では専攻科生と本科4・5年生と一緒に様々な研究に取り組んでいます。皆さんも一緒に先端技術の研究や地元の様々な問題解決に取り組んでみませんか?