メダカ卵を使って内分泌かく乱物質の簡易な発生影響評価法を開発
- 2018年03月22日
- その他
環境中から検出される女性ホルモンであるエストラジオール17β (以下E2と省略)や類似作用を及ぼす化学物質は内分泌かく乱物質(別名、環境ホルモン)と呼ばれます。現代社会において、これらの環境ホルモンの生物の発生に及ぼす影響を正確に評価することは重大な懸案事項です。しかしながら、哺乳類動物を用いた化学物質の暴露実験は評価が難しく、簡便な化学物質の発生影響評価法が必要とされています.有明工業高等専門学校の冨永伸明教授、河野晋教授、内田雅也講師、山口明美技術専門職員らのグループは、メダカ受精卵へ高電界パルスを印加することで卵膜の透過性を一時的に高め、外部から卵内へ容易に物質を導入できる独自の技術を開発しました。この技術を用いて、E2がメダカ卵の発生にどのような影響を及ぼすのか、詳細に解析しました。その結果、E2によって誘発されるメダカ卵の形態異常を高感度に検出でき、さらにE2の標的遺伝子とされている遺伝子だけでなく,多くの遺伝子の発現が変動していることを明らかにしました。
本グループによって開発されたメダカ卵を用いた評価系は、脊椎動物の発生に対する化学物質の影響を評価する簡便な手法として期待されます。
本研究成果は、2018年にJournal of Applied Toxicology誌にて公開予定です。