Web 版高専だよりNo.9 教員の研究紹介
- 2021年10月04日
- 高専だより特集記事
今回は出口先生の研究を紹介します。
〇 創造工学科 応用化学/環境生命コース 出口智昭 先生
私の専門は微生物工学です。微生物とは目にみえないくらい小さな生物のことで、細菌、カビ、酵母などがあります。微生物はヨーグルトやお酒などの発酵食品の生産、抗生物質などの医薬品の生産、排水処理やごみ処理といった環境浄化など様々な分野で利用されていますが、地球上の微生物でその機能や性質が明らかになっているのは1%と言われており、ほとんどの微生物は謎のままです。このため微生物利用は無限の可能性を秘めています。本研究室では「微生物処理」、「発酵食品」、「生体調節機能性」、「廃棄物利用」などをキーワードとして微生物をいろいろと利用する研究を行っています。
現在行っている卒業研究では、
①微生物変換による新規アントシアニンの生産
これは図1に示すように黒米のアントシアニンにEnterobacter aerogenesという細菌を作用させると細菌の代謝によって色素の色調が変化し、新たな色素が生成します。この色素が生産する条件や生成した色素の性質や生体調節機能性を研究しています。
②微生物担持竹炭を用いたノリ加工排水処理
板ノリを生産する過程で発生するノリ色素を含む着色排水の河川への放流が問題となっています。このためノリの色素を分解する微生物を自然界から分離して、竹炭に担持して水を浄化する方法を検討しています。図2はノリ色素を添加した培地にノリ色素分解菌を塗布することで色素が分解される様子です。他にも③光合成細菌による生体調節機能性素材の生産、④新規な製法で作成した米麹の生体調節機能性、⑤大豆加工廃棄物の有効利用、⑥諏訪川における薬剤耐性菌調査といったテーマで研究を行っています。